「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」

今日はひさびさに終日店番です。

最近ブログやんのめんどくせえなあ書くこともないし、と思って、昔何を書いていたんだろう、といくつか読み返してみたら思いの他面白く(あつかましい)、気持ちを新にしている今。

やっぱり身の丈にあった、多少くだけた物の方が楽しい様です。

とは言いながら、21世紀を生きていると、ネットにまつわるトラブルは避けがたく降りかかってくるので、あえてそこに自分から飛び込んでいくこともないのではないか、ともいつも思います。

No Pain, No Gainという言葉を持ち出すと大げさですが、インターネットに接続(特に発信)してそこからメリットや楽しみを得ながら、そこから必然的に派生するデメリットだけは引き受けないというのも、ある意味ではずるい様な気もします。

そんなこともテーマの一つである映画を最近見ました。

「シェフ:三ツ星フードトラック始めました」という映画。

これはとても良かったです。
老若男女、馬鹿もかしこも映画評論家も褒めるであろう映画だと思います。

「アイアンマン」の監督ジョン・ファブロウが大資本系映画に嫌気がさして自主で作った映画、ということがひとつの肝になっている作品の様で、個人的にそういう作品背景が重要みたいな物は「お勉強」という匂いがしてあまり好きでは無いのですが、この映画はそういう視点で見た方がより感動が増す気がしました。

要するに腕はいいのだけれどオーナーに逆い切れず、時に不本意な仕事をさせられていた一流レストランの雇われシェフが、ある出来事でクビになり、屋台を始めたことで、人間関係と自分を取り戻していくという話です。

この映画の中で、SNSというやつが重要なアイテムとして登場するのですが、ネット上での交流における功罪を描いていて(主人公は仕組みがよくわからずに不用意なツイートをして失敗するが、同じツイッターを使って屋台を広めることに成功する)、普遍的な挫折と復活の物語でありながら、現代ならではの話でもあるというバランスの良さでした。

自分としては、インターネットとか携帯電話とか、ある意味生々しい小道具ぬきの話の方が好きなのですが、現代が舞台の話ではそれはリアリティが無いとも言えるのかもしれません。

それはさておき、仕事とは何かという縦糸と、親子・夫婦関係の修復という横糸とをテーマにしながら、「料理がうまそう」「旅の様子が楽しそう」「ヒロインが美人」と思っている内に話がサクサク進んでいく、とてもおもしろい映画でした。

音楽もヒップホップは一切かからないのにヒップホップ的文脈の物が多く、うれしかった。

アメリカンスナイパー」も良かったけど、この「シェフ」の方が意外に心に残りました。
(比べるものでも無いけれど、同じ時期に見たので)

いろいろ

おかげさまで水の都の古本展は無事に終了いたしました。

早くも次回に向けて動いておりますが、予約に色々と制約があり、毎年大変です。
前回まで使用していた展示室の現状については色々と言いたいこともありますが、やめておきます。仲間内でぶつぶつ言うにとどめておくことにします。ぶつぶつ。

筆禍や舌禍という言葉がありますが、昨今はキーボード禍とでも言うべき問題が色々ある様で、いらんことは言わぬに越したことは無いと知りながら言ってしまうのが人の性。気をつけよう。
沈黙は金。谷でも金。

水の都会場ではいつもの如くダジャレの嵐でした。
その他に最近のトレンドは厚生さんが布教している、何でも漢詩人の名前の様に言うというやつです。

文字ではニュアンスが伝わりづらいかもしれませんが、例えば「最終日」という単語が会話に出たら、「サイ・シュウビ」という具合に言い換えるという、大変無意味かつ二の句が継ぎにくい行為なのですが、やってみるとなかなか楽しい。

三文字熟語なら大概いけるので言葉遊びが好きな人はお試し下さい。
怪訝な顔をされること請け合い。

何を言われてもダジャレやこういった言い換えで人をけむにまく様な老人になれれば人間関係のトラブルも無くなる様な気がします。

おわり

趣味

体調のことばかり書いていますが、いまひとつ本調子では無いものの普通に暮らしております。

先日は火曜日の東京古典会が休会だったので、少し罪悪感を感じながらも連休を取るという贅沢なことをしてしまい、2日間ゆっくりと過ごしました。

こんなことを言うと馬鹿みたいですが、このところ読書にはまっています。
それもあまり仕事には関係ない小説ばかり読んでいます。(神慶太さんという人の短編が良かった。)

最近は意識的に毎週しっかり休む様にしているのですが、そうすると色々とやりたいことが増えてきて、逆に時間が足りなくて困っています。

先週の水曜日はアントリーという和泉市にあるインテリアショップに出かけ、色々物色してきました。(インテリアのことを考えるのが大好きなのです。店は散らかっていますが)

そして、頻繁に東京に行く様になったのをいいことに、暇を見つけてはレコード屋に立ち寄って色々買っています。今さら何を言うかという感じですが、御茶ノ水ディスクユニオンはとてもいい。

今レコードを買うと「BLUE GIANT」というジャズ漫画(面白い)のイラストが入ったビニール袋に入れてくれるのです。

最近買った中では、Avishai Cohenというイスラエルのベーシストの新譜が大変かっこ良かった。

といった具合に、「部屋を居心地よくして好きな音楽をかけて本を読む」という「休日の過ごし方・インドア編」の王道を歩んでいる今日この頃。

三つ子の魂百までと言いますが、好きなことは中高生の頃と結局何も変わっていない気がします。

しかし、そんな風に楽しむ心の余裕も長いこと無かった気がするので、とりあえず休日は好きなことをして楽しもうと思っております。

なぞのやまい

体調がいまひとつのまま、もう2週間が過ぎようとしているのですが、いつまでも寝ているわけにもいかないので嫌々ながらもう一度病院に行ったところ、原因が不明とのことでとりあえず抗生物質と頭痛薬を出されました。

自覚症状としては、頭痛、目眩、血の気が引く様な体が火照る様な気分の悪さ、乗り物酔いの様な感覚、動悸と心臓の痛み、時折の寒気、首と肩に強い凝り、いくら寝ても目の下の隈が取れない、などがあり(後半のいくつかは以前から断続的にあった)、考えてみるに、いつまでも風邪が治らないのではなく、これは何か風邪とは別物なのではないかと思うのです。

それがたまたま風邪の発熱と同時に襲ってきただけで、風邪の方は通常通りの日程で去っていき、何か別物がいつまでも居残っているのではないかと。

以前、インフルエンザによる高熱のため家で寝ていると、夜中に悶絶するほどの腹痛が襲ってきたので、耐え切れず救急車を呼ぶと盲腸だと言われすぐに手術となったことがあって、よりによってインフルエンザと盲腸が同時にやってくるとは、と驚いたことがありましたが、何かの病気で弱っている時に、潜伏していた他の症状が顕在化するということは案外よくあるらしいです。

というわけで、いずれ近い内に大病院にでも行って調べてもらう必要があるかもしれませんが、とりあえず人に伝染ることは無さそうだし、寝ていても治りそうも無いので、通常通り働くことにしました。

そう開き直ると、意外と少しマシになるものです。
ただ時々やはりクラクラするので、店番をしながら頬杖をついたり頭を抱えていてもどうかお許し下さい。

風邪

今週は風邪をこじらせてしまい、ずっと寝込んでおりました。大変口惜しいことです。

普段風邪をひいても熱が出にくいたちなのに、急に8度を超える日が続いたので、これはインフルエンザかと思い、大嫌いな病院に仕方なく行ってみたのですが、何やら白くて長い棒を鼻の穴から頭の向こう側まで貫通するんじゃないかと思うほど突っ込まれた挙句、結果は陰性。

どうも釈然としないまま帰宅し、結局その後数日熱が下がらないまま今に至ります。

しかしその間にも水の都の目録締め切りがあり、京都組合へ行く用事があり、公共機関への納品があり、と諸用は重なり、朦朧とした意識の中で過ごしていたので、長い様な短い様な、変な一週間でした。

今日は閉店前の数時間だけ、久しぶりに店番をしています。

一月は店売りが好調なため、とてもありがたいです。
良い本がたくさん入荷しておりますので、二月も何卒ご来店下さい。

考証学のまねごと

もう年が明けて随分経ってしまいましたが、今年初の更新ですので、改めましてあけましておめでとうございます。本年も梁山泊を何卒よろしくお願い申し上げます。

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昨年末、師走という言葉のことについて少し触れましたが、その際に孫引きになってしまった「日本歳時記」が先日入荷したので、今さらながら件の記述を見てみました。

前述した、四時のはつる=しはつという記述も確かにあるものの、それに先立って、

○十二月の和名をしはすといふ僧をむかへ佛名をおこなひあるひハ経をよませ東西にはせハしる故に師はせといふを轉せるよし奥儀抄に見ゑたり…

とあるので、おや?と思い、たまたま「奥儀抄」も在庫があったので見てみると、

上の様に、文末こそ「あやまれり」と微妙に違うものの確かにほぼ同じ文章が載っていました。
(この「あやまれり」は「しはせ」が訛って「しはす」に転じたことを指しているのでしょう)

やはり師が走って師走というのも割に古くからある説の様で、近代に出来上がった俗説とは言えない様です。

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物事の考証をしたり、本の内容を批評したりといったことは古本屋の本分ではないと思うのですが、普段どうしても、悪く言えば右から左に、仕入れて国書総目録等を調べて特に珍しいものでなければ機械的に値付けする、という作業になってしまいがちなことを反省してもいるので、面白半分ながら和本の本文に当って物事を調べるというのも面白いものだと思いました。

まあ平たく言えば、自分が金を出して買っているのだから自分が楽しんで何が悪いか、いや楽しまないと損だ、ということでしょうか。

古本屋は案外仕入れた本は読まないものなのです。
というか、全部読んでいたら仕事にならないのです。

今回得た教訓は

・孫引きは(特にネットからの転載は)鵜呑みにしてはいけない。
・原典に当たることが大切

ということです。

後はやはり和本は摺りがいいに越したことはないなと思いました。
自分の商品を貶めてもしょうがないのですが、やはり摺りがいまいちだと読みにくい。

とはいえ掲載画像は商品なので、ご興味ある方はお問い合わせ下さい。

おわり

映画

もうすぐ正月休みですが、年末年始は映画を見まくろうと計画しています。

先週は「ゴーンガール」という映画を見てきました。
映画を見る時はなるべく前情報無しで行きたい派なのですが、この映画もそれがいい方に働いて、ものすごく面白かったです。

これから見る人は予告編すら見ずに行った方がいいと思います。

世の男性陣とは違う感想かもしれませんが、終始女性主人公が哀れでなりませんでした。

私は映画監督の名前とか全然覚えられないタイプなのですが、この映画に関してもフィンチャーって何の映画撮っていたかなあ、と鑑賞後に調べてみたら、私の人生ベストの「ファイトクラブ」や、ラストの衝撃のみ克明に憶えている「セブン」を撮った監督ということに気づきました。

とにかく完成度の高い映画だと思いました。