瀬尾氏と私

SEO対策ということを考えなくてはいけないらしい。

要するにホームページのアクセス数をアップする為の工夫のことらしいこのSEOという奴、そのままアルファベット読みでエスイーオーと読むことを知ってはいるのだが、字面で見るとセオと読めることから、どうしても瀬尾と脳内変換してしまうのを止めることが出来ない。

数年前一部の先輩方がSEOSEOとうわ言の様に呟くのを他人事の様に聞いていた時、なんとなくネットに関することを言っているのをわかってはいるけれど、頭の中で瀬尾(何故か中年男性)という男が様々な悪事、例えばメールを使ったサイバー攻撃からパソコンのコンセントを突然抜くといった低レベルな嫌がらせまで、考えうる限りのPCまわりのトラブルを引き起こそうとしてくることへの対策、というイメージが頭の中を駆け巡り、しかし自分はまだ瀬尾の被害を実際に受けたことは無いから当然怒りなどが湧くはずもなく、瀬尾のことばかり気にする人たちに対して「瀬尾をただ攻めるのではなく何故瀬尾がそんな行為に及ぶに至ったかという背景を考えてはどうか」という、少数派である瀬尾氏をかばいたくなる義憤にも似た思いにまで妄想は膨らんで、「俺はSEO対策などという物には加担しない」という主義を心の片隅に掲げる運びとなったのだが、ここ数年の間現実と向き合わざるを得ない諸々の出来事と対峙する中で、そういった戯言に浸る暇も日に日に減っていき、「俺にも生活があるのだからいつまでも瀬尾をかばい続けるわけにはいかない」という思いが頭をもたげ、転向を考える時期が来たことを感じ始めていたのである。

そこに先日、たまたま広告代理店勤務の友人と飲む機会があって、期せずして件のSEO対策の話になり、友人は仕事柄それらのことに大変詳しいらしく、お前が望むのであればそういった話をもっと詳細にすることも出来るがどうするか、と問われたので、これまでの経緯はあるもののそこは男らしくぐっとこらえて多くを語らず、「よろしく頼む」と短い一言で瀬尾氏との訣別を決めたのだった。

自分は正しい方向へ進んでいるのだろうか。
来月、本当の瀬尾を知らされることになる。

つづく