アメリカ旅行④サンフランシスコ③

サンフランシスコ2日目。さてこの日から旅に暗雲が立ち込め始める。

まず朝は全員で街に繰り出し、何か忘れたがバーガーチェーンでバーガーを食す。
味は普通。

その後、自由行動。街中でショッピング。
サンフランシスコはゲイピープルにオープンなタウンで(何故かルー大柴っぽくなる)、その象徴がレインボウカラーだと言うことは前述のイシカワさんから聞いていたのだが、確かにメインストリートには巨大な虹色の旗が風にはためいている。

前半は主にEさんと2人でデパート等を回っていたのだが、何度もTシャツを背中に合わせてあげたりしていたため、ムキムキ&ヒゲのEさんと小柄な私は周囲から微笑ましく見られていたかもしれない。

それから少し単独行動をした後、別のメンバーとアメリカンイーグルで合流したのだが、そこを出たところで黒人B-BOYに声をかけられ、何やらよくわからない内にCDを渡される。

これは無料か、と聞いたら無料だ、と言うので、他のメンバーは関わらない様にしていたが、自分はわからなくても英語を話すのが旅のテーマだったので、色々会話をしてみる。
昨晩シティライツで買った本が「HIPHOP FAMILY TREE」だったことも心が緩んでいた原因だったかもしれない。

曰く、自分は日本の基地にいたことがあり、ヒップホップが好きだ。日本での名前はショウキチだ。このCDを聴いてくれ。日本でも人気のジャズヒップホップだ。例えばシーモとか。ザ・ルーツ?そうだ、ザ・ルーツみたいなやつも入っている。お前の名前をこのCDにサインしてやる。サラサラサラ。漢字も書いてみてくれ。

と、シーモはジャズヒップホップでは無いだろうと思いつつも、必死でヒアリングしている内に名前を書かされてしまい、(今思えば)それを見計らった様に、2メーター以上ある別の黒人が登場して代金を要求される。顔が近い。怖い。

お前の名前をサインしたからお前専用だ、買い取ってくれ。と、巧妙な?手法で金銭を要求される。仕方なく財布を出すと、思わぬ高額を要求されたのでノーノーノーと言いつつも、もう一人小柄かつ身のこなしの軽やかな奴が出てきて取り囲まれ、逃げられない状況。
20ドルを取られ、モアモアモアと言われ、200ドルくらい要求され、そんなに出せない、と必死で言う。

すると何故か最初に話していたショウキチが2メーターに、そんなに取っては可哀想だ、と言い出し、小競り合いの末60ドルに決定し、巻き上げられる。

まあ、いい経験をしたな。CDはもらえたからただのカツアゲよりマシだな。撃たれなくてよかったな。

と、自分を慰めつつ、一度ホテルで休もうと歩き出すが、「黒人&でかい=どうやっても勝てない」という図式があらかじめ自分の中で出来上がっていたため、あまり屈辱感はなかった。

それにしても最後のショウキチの仏心は何だったのか、ただの茶番か、と思っていると、ほどなくして、メンバーの一人からLINEが。

「CDを150ドルで買わされた」

とのこと。何と気の毒なことか、と思いつつ、自分だけが不幸ではないことに少しホッとする。

しかし、同一犯なのは間違いないが、この金額差は何なのか。
ショウキチのおかげなのか。

複雑な思いがさらに深まる。

…ショウキチよ、ありがとうを言う義理は無い。真面目に生きろ。

つづく