アメリカ旅行⑥ラスベガス②

さて、ギャンブルのこともなかなか書きにくいのですっかり更新が滞ってしまいましたが、ラスベガス。

賭け事を除いては食とショーしかない街。
シスコではあまり食べなかった、ジ・アメリカンなステーキを食した。

(蛇足ながら、サンフランシスコをシスコと略すのは日本の一部でだけらしく、friscoという略称はあるものの、地元っ子はこう呼ばれるのをよく思わないらしい。)

ステーキ①レストラン名失念

ステーキ②パラッツォ・カルネヴィーノ

どちらも無駄な脂が無く味付けもシンプルでとても美味。やはりそこはビーフイーターの国。霜降り信仰なんて食牛後進国日本だけである。

ここでもギャルソンがナイスガイだった。

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そしてショー。

ショー①マイケル・ジャクソン ONE

ショー②シルク・ドゥ・ソレイユ KA

ONEはシルク・ドゥ・ソレイユによるマイケルの曲を使ったショー。

自分はマイケル・ジャクソンについては、高校生くらいまでは世間のほとんどの人と同じく、「ポップアイコン」「奇人変人」というくらいの認識だったのだが、NAS「it ain't hard to tell」などのヒップホップ方面から後追いして積極的に聴く様になって曲は好きになり、しばらく経って(一部では大変有名な)「マイケル・ジャクソン小沢一郎ほぼ同一人物説」で人間性についても興味が強くなり、一連のスキャンダルについても懐疑的に見る様になり、今ではいちアーティストとして間違いなく歴史に残る才能であり、人間としても骨のある人物だと思っている。

It ain't hard to tell/NAS

(言わずと知れたHIPHOP史上に輝く名曲。マイケルの「Human nature」をサンプリングしている。蛇足だがサンプリングというものがクリエイティブな行為であるということを示す仕上がりだと思う)

Human Nature

そこでこのショーだが、おそらくかなり意識的に、「誰もマイケル・ジャクソンにはなれない」というコンセプトで作っていると思われ、それはちゃんとマイケルを愛している人が指揮を執っているであろう優れた判断なのだとは思うが、であるがゆえに中心を欠いている様にしか見えないのが残念だった。

曲に合わせてダンスや演出を見せるのだが、バックダンサーだけのショーを見せられている様で、主催者が意識的に回避したと思われる、「そっくりさんでもいいからマイケルが出てくる」ということを望む気分になってしまった。

終盤に「man in the mirror」に合わせて生前の映像をホログラフ化したと思われる黄金に輝くマイケルが歌い踊るくだりがあったが、そこはとても感動した。
「誰もマイケル・ジャクソンにはなれない」ということが本当にコンセプトだと仮定するならば、皮肉にもそれは証明されてしまった。「マイケルが出ないのなら退屈である」という形で。

鑑賞後のMさんの「本当にすごい人を亡くしたんやな」という言葉が印象的だった。

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KAも同じくシルク・ドゥ・ソレイユによるもので、火を使ったショーが売り。
(同時に別の場所で水がテーマのオーもやっていたが、こちらは未見)

常設だから出来る大掛かりなセットが売りらしく、広い会場のぐるりに足場を組んで、ステージ以外でも出演者が動き回り、ステージも垂直に立ち上がったり船が出たり、3Dマッピングも取り入れて、ものすごく金のかかったもの。

ストーリーはもう少し練る余地がありそうな感じがしたが、とても楽しめた。

終盤、ヒロイン役の女性がソロで踊りを披露する場面でバトンを一度落としてしまったのだが、個人的にはこのことによって、"当然の様に超人的なパフォーマンスをする集団"という一種飽和した状態に緊張感が出た様に思え、やはりものすごく難しいことをやっているのだな、という印象を新たにしたので、これはこれで良かったと思う。

皮肉めいたことばかり書いてしまったが、どちらも見て良かった。

エセレビュアーでした。