みこし

 夏のおわりのある日、京都で飲んだ帰りに、K書店のSさんから祇園まつりの話を聞きました。

前日にお神輿を担いでおられたとのことだったのですが、首の付け根に駱駝の様なコブができているのを見せてもらいました。

長年神輿を担ぎ続けていると、その様な「みこしコブ」ができるらしいです。

私はそれを見て、しぶいな、男らしいな、そして人間の体ってすごいな、と思っていました。

 そんなある日、高校時代の友人から、「地元で祭りがあるが若手が足りないので神輿が上がらない、ついては手伝ってほしい」という話を受けました。

私は前述の通り、神輿への憧れがあったので、2つ返事でOKしました。

 我々の地元には加茂小学校と加茂西小学校という隣あった2つの小学校があり、私は加茂小学校出身なのですが、この2校は代々対立関係で、我ら加茂小生は敷地内に給食センターがあるため、そこで作られた給食を食べている加茂西小を「給食どろぼう」と呼んで蔑んでおり、しかし加茂西小の方が気性が荒い奴が多く、喧嘩になると負ける、という関係性でした。

しかし、我々の卒業後ほどなくして、少子化のため2つの小学校は統廃合され、加茂小の敷地は老人ホームになり、加茂西小は建物は残ったものの「加茂小」の名前に変更になり、2校の卒業生はお互いに母校が無くなった様な感覚になりました。

そんな、加茂小と加茂西小の校区のちょうど境に位置する鴨神社という神社での祭。

氏子は主に加茂西小校区の地主の方々。

そんな因縁の(?)神輿を担ぐのだから、自然テンションも妙に上がります。

今も毎週の様に会う友人や、久しぶりに会う友人とともに、見よう見まねでお神輿を担いできました。

やってみると他では味わったことのない爽快感で、日頃のストレスが吹っ飛びました。

助っ人だったので、ハッピなど無かったのが残念だったのですが、祭に賭ける男の気持ちが少しわかった気がしました。

もちろんみこしコブにはほど遠いですが、肩では無く首の付け根で担げ、と言われた時に、「なるほど」と思いました。

来年も絶対に来る、と青年団の人に誓って、乾杯。

しかし、翌日は全身の筋肉痛、特に両肩・両腕・太腿はパンパンで、組合の階段の上り下りが地獄でした。

おわり