ヨウヨウ

私は学生時代からヒップホップという世間的にはあまりイメージが良くないであろう音楽が好きなのですが、日本ではちょっとコミカルな形で一般層に浸透してしまった様なところがあり、ダジャレの合間にヨウヨウ言ったらラップ、という風に捉えられているのは悲しい限りです。

しかしヒップホップという文化も実は誕生から40年くらいの歴史があるので、「何がロックか」という問いかけが今や形而上学的な設問になっているのと同じく、「何がヒップホップか」という概念も曖昧になりつつあるので、ダジャレでヨウヨウも一つの側面であるのも確かです。

さて、そんな決してほめられたものではないヒップホップは、黒人文化から派生した音楽という歴史もあってか、色々と独特な風習というか慣例というか、いわゆるヒップホップマナーと呼ばれるものが色々あります。

その一つが「フックアップ」と呼ばれるもので、これは直訳すれば「接続」などとなるのでしょうが、ヒップホップに於いては、「引っ張り上げる」という様な意味合いで用いられます。

何を引っ張り上げるのか。それは仲間や後輩。

要するに既に売れている側がまだ売れていない才能のある仲間や若手が売れる様に自分の曲やライブにゲストとして招いたりするのです。

これは実際に才能があるけれど埋もれている者がフックアップされるのであれば美しい関係なのですが、そうではなく、ただ単に地元の仲間であるとか、かわいがっている後輩であるとか、ただのビジネス的なこと等でフックアップされているであろうケースもあり、私はそういったアーティストが嫌いでした。

実力が無くてもコネがあれば目立てるなんてあんまりじゃないか、と。

なので、フックアップされた場合は、した側に勝るとも劣らないスキルを見せつけることが必要だと思っていました。
しかし「場が人を育てる」という言葉とおり、最初はいま一つでもフックアップされたことをきっかけに化ける者もいます。まあ大抵、才能が無い者はいずれ消えていくのですが。

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長々と誰も興味ないであろうことを書いてきましたが、要するに私自身が先輩方からフックアップされて今がある様なものなので、いつまでもそこに甘んじてはいられんぞ、ということを言いたかったわけです。

ネットにアップする様なことではない…いや、何を今さら。

おわり